なぜサッカー男子ワールドカップ2026はジェンダー平等の好機なのか
待ちに待ったサッカー男子ワールドカップ2026 の開幕。
数十億人が同じ試合を見つめ、同じ歓喜や落胆を分かち合う。サッカーには、人々を結びつける特別な力があります。しかし、その一方で、サッカーにも依然としてジェンダー不平等の問題が残されています。
サッカーは世界中を熱狂させるスポーツです。UN Womenは、ワールドカップという世界最大級の舞台こそが、その状況を変えるチャンスだと訴えています。

ベナン、コンゴ民主共和国、エチオピア、モロッコ、セネガル、南アフリカのU-16男子・女子代表チームが、キンシャサで熱戦を繰り広げました。男女両方の選手が、UN Women主催の「ポジティブな男らしさ」をテーマとしたワークショップなど、「共生」に関するワークショップに参加。さらには、各国のサッカー連盟やスポーツ省の幹部もワークショップに参加し、「開発とジェンダー平等推進のためのツールとしてのスポーツ」について検討しました。
写真:UN Women/アドリアナ・ボラ
サッカーは変革の原動力
スポーツは、ジェンダー平等に向けた連帯と行動を広げる強力な手段です。2026年男子ワールドカップは、史上初の48チームによる大会として、およそ60億人の視聴者(うち500万人以上が来場)と28億ドルを超えるスポンサー収入が見込まれる史上最大規模の大会です。サッカーには、世界中の人々を結びつける力があります。その力をジェンダー平等の推進に向けることができれば、大きな変革を生み出す原動力となり得ます。
女子スポーツ人気の高まりは世界的な現象
2023年の女子ワールドカップも約20億人が視聴し、女子スポーツ史上最大の視聴者数を記録しました。女子サッカーのファンは2030年までに8億人を超え、世界で最も人気のあるスポーツ・トップ5に入ると予測されています。いま問われているのは、人々が女子スポーツを観ているかどうかではありません。サッカー界がこの機会を活かし、ジェンダー平等を推進していくかどうかです。
女子スポーツの注目度は過去最高を記録
2026年男子ワールドカップの放映権収入は42億米ドルを超え、スポンサー収入は28億米ドルに達する見通しで、観客動員数は32年ぶりの記録を塗り替える勢いです。これは、サッカー界が長年にわたり競技と市場への投資を続けてきた成果です。
一方、女子スポーツの視聴者数も過去最高を更新しています(2025年には、英国で4800万人が3億9700万時間視聴し過去最高を更新)。それにもかかわらず、女子スポーツが占めるゴールデンタイムの放送枠はわずか8%です。女子スポーツは現在の商業基盤を上回る成果を上げており、スポーツ界で最も有望な成長分野となっています。
けた外れな男女間の報酬格差
FIFAは2026年に約90億ドルの収入を見込んでいます。一方、女子スポーツの収入も急成長しており、2026年には30億米ドルに達すると予測されています。これは、4年間で340%の増加です。それにもかかわらず、フォーブス誌の2025年版「世界で最も高額な報酬を得ているアスリート50人」に女性は一人も入っていません。
また、2023年女子ワールドカップの賞金総額は1億5000万ドルと、2019年比で300%増加したものの、2022年男子ワールドカップの4億4000万ドルの3分の1にとどまりました。サッカーは記録的な収益を生み出している一方で、女性選手への報酬は依然として平等とは言えません。
観客席を反映していない意思決定層
国際スポーツ連盟の役員に占める女性の割合は約32%、女性サッカー指導者は約5%、東京2020オリンピックの女性コーチは13%にとどまっています。その結果、世界的イベントの方針は、女性としてのプレー経験や指導経験がない人々によって決められています。
女性や少女に対する暴力と対策不足
サッカーは世界をつなぐ一方で、大規模イベントと女性や少女に対する暴力リスクの上昇との関連も指摘されています。
ブラジルでは、地元チームの試合日には、女性への脅迫が23.7%、身体的暴行が20.8%増加したとする研究があります。同様の傾向が米国(予想外の敗戦後に10%の増加)、イングランド(2010年ワールドカップ期間中)、スコットランド(ダービー戦中に36%の増加)でも確認されています。また、コーチや審判、ジャーナリスト、運営スタッフとしてサッカーに携わる女性たちもハラスメントや暴力に直面していますが、通報体制など保護の仕組みが不足しています。
そうした状況があるにもかかわらず、世界的に見ると女性に対する暴力根絶に取り組む団体の3分の1が、資金削減により活動の一時停止や終了を余儀なくされており、スポーツ界の内外を問わず、被害者支援が弱体化しています。
少女たちがスポーツを離れる理由
14歳未満の少女がスポーツを辞める割合は、男子の2倍にのぼります。背景には、貧困やジェンダーに関する固定観念、同調圧力、身体の変化、安全面の懸念、ロールモデル不足などがあります。一方で、スポーツをする少女たちは、教育期間が長くなり、より良い職に就く傾向があります。サッカーを辞めてしまう少女一人ひとりが、潜在的な未来のリーダー、変革者なのです。
希望の兆しもあります。2027年にはブラジルで南米初となる女子ワールドカップが開催されます。また、2024年パリオリンピックは史上初のジェンダー平等な大会となりました。
ワールドカップには、毎回数十億人の視線が注がれます。UN Womenは、この機会をすべての女性と少女のためのジェンダー平等の推進に活用すべきだと訴えています。
https://www.unwomen.org/en/articles/explainer/five-things-to-know-about-women-and-sport
