ミャンマー地震緊急支援第2報:この地震が女性と少女たちにとって意味するもの
2025年4月11日
2025年4月3日付
巨大地震で被災したミャンマーの女性と少女たちへの寄付受付開始にあたり、UN Women本部から届いた続報をぜひご覧ください。すでにご寄付くださった皆さまにお礼申し上げますともに、 引き続き温かいご支援を何卒よろしくお願いいたします。
2025年3月28日、ミャンマーは2つの非常に大きな地震に見舞われました。マンダレーとサガインの近郊で起きたマグニチュード7.7の地震に引き続き、南部でもマグニチュード6.4の地震が発生しました。死者2,800人以上、負傷者4,600人以上、避難民数百万人以上と、人道危機が深刻化しています。進行中の紛争と経済不安によって震災前からすでに脆弱な立場に置かれていた女性と少女たちは、地震のあと、更なるリスクや女性特有の試練に直面しています。

UN WomenとUNFPA(国連人口基金)が主導する「人道支援活動におけるジェンダー」作業部会は、女性主導組織などミャンマーの地域パートナーと協力し、災害がどのようなジェンダー特有の影響をもたらしているかについて報告をまとめています。最新情報はこちらからご覧ください。
UN Womenは、女性たちのニーズを把握し、彼女たちの声が届くよう、現地の女性組織と協力して、まもなく緊急に必要な援助の実施を開始する予定です。
地震の影響を最も受けた地域は?
マンダレーとサガインの近郊で発生したマグニチュード7.7の地震は、ミャンマー中央部に大きな被害をもたらし、タイを含む近隣諸国にも影響を与えました。その数分後、さらに南の地域でマグニチュード6.4の2つめの地震が発生しました。両地震ともミャンマー全土の主要都市に深刻な影響を与え、マンダレー、サガイン、ネピドー、バゴー、マグウェイ、シャン州の一部に被害を与えました。
地震発生前から、ミャンマーでは政治的・経済的に不安定な状況が続いていたため、すでに350万人の国内避難民がいましたが、そのうち160万人は今回最も被害の大きかった地域に住んでいました。

地震はミャンマーの女性と少女にどのような影響を与えているのか?
数千人の死傷者が報告され、医療施設、空港、主要道路、橋などの重要なインフラが被害を受け、また、電気や水道が停止するなど、今回の災害は、ミャンマーの女性と少女の試練を激化させています。
すでに地震以前から、1,040万人の女性と少女を含むミャンマー国民の3分の1以上が緊急の人道支援を必要としていました。
そして、ミャンマー地震後には、女性や少女たちから次のようなことが報告されています。
1. 女性と少女が直面するジェンダーに基づく暴力のリスクの増大
家やインフラが破壊され、女性や少女はプライバシーも安全もない過密なその場しのぎの避難所にいます。多くの場合、屋外で、テント、あるいは毛布やシーツだけで区切られた空間に、照明も限られた状態で過ごしています。ジェンダーに基づく暴力に関するサービスを利用できなければ、そうした暴力のサバイバーたちは必要な支援を受けることができません。
2. 家族の分離、そして、危険にさらされる子どもたち
家族や養育者から引き離され、過密なシェルターで暮らす子どもたちは、暴力、人身取引、そして、危険を伴う移住といったリスクが高まっています。そうしたリスクは、特に少女にとって高まっており、性的暴力を経験したり、早期の結婚を強要されたりする可能性があります。
3. 医療の混乱は女性のリプロダクティブ・ヘルスに致命的な結果をもたらす
多くの病院や医療施設が被害を受けたり、破壊されたりしており、残っている施設も手一杯の状態です。 道路の損壊や燃料不足のため、女性のサービス利用が難しくなっています。これは、女性と少女にとって、ジェンダーに基づく暴力のサバイバーに対するケアや安全な出産や妊産婦の健康を守るためのケアへのアクセスの減少を意味します。
4. 清潔な水、公衆衛生、衛生管理の欠如
女性や少女は、トイレや入浴スペースが不十分で安全でないため、特に月経中、妊娠中、出産後の衛生状態を維持することが困難であると報告しています。「人道支援活動におけるジェンダー」作業部会のメンバーが確認したところ、ある仮設キャンプでは、利用できるトイレは1,200人に対して、わずか14個でした。また、電動ポンプが作動していないために汚染された水源を利用し、病気になる危険性もあります。
5. 女性と少女は飢餓と栄養不良のリスクが高まっている。
食料は不足をきたしていますが、機能している市場はほとんどありません。物価上昇が予想され、また、女性と少女はしばしば家族の食事と世話を担っているため、彼女たちの食料は不足し、栄養の質が低下するリスクがあります。女性が世帯主である世帯は、緊急援助や財政支援を受けるのに苦労しており、災害に対処するための収入源を必要としています。
6. メンタルヘルスへの影響
人道危機の影響を受けたほぼすべての人が、心理的苦痛を経験します。約5人に1人は長期的な精神疾患を発症しますが、必要なケアを受けられるのはわずか2%です。ミャンマーの女性や思春期の少女たちは、家や愛する人を失ったトラウマと闘いながら、生き残るため、そして、生き残った人々の世話をするために奔走しています。地震が彼女たちに与えた精神衛生上の影響は甚大です。ミャンマー国内の長引く紛争と経済不安によるストレスの上に、新たなトラウマが重なっているのです。
ミャンマーの女性と少女を支援するための5つの緊急行動
被災者の半数は女性と少女です。ですから、人道支援の取り組みにおいて、彼女たちは重要な役割を果たす存在です。UN Womenは、以下のような方法で、ミャンマーの女性と少女の安全、尊厳、リーダーシップを優先しています。
- ジェンダーに配慮した評価を行うこと: 災害が発生すると、政府、国連機関、現地のパートナーは被災者のニーズを評価します。UN Womenは、危機の影響を受けたコミュニティの女性たちの具体的なニーズを理解し、それに対応するために、彼女たちがこのような評価に初期段階から参加できるよう、現地のパートナーと協力しています。
- 安全なシェルターとジェンダーに基づく暴力に対するサービスを提供すること: UN Womenはパートナー団体と協力して、ジェンダーに基づく暴力のサバイバーのために、女性と少女が、ジェンダー別のスペースや、照明、安全が確保されたシェルターを利用できるように、また月経衛生キットやサービスを利用できるようにしています。
- リプロダクティブ・ヘルスやメンタルヘルスのニーズなどのヘルスケアへのアクセスを回復すること: 妊産婦ケアを含む、女性と少女のための救命につながる性と生殖に関する保健サービスを、移動診療ユニットを使って優先的に提供することが緊急に必要です。
- 食料安全保障と現金支援を確保すること: 女性には、緊急時の現金支援と、女性用、特に、世帯を率いている女性、介護をしている女性、障がいを持ちながら生活している女性用に作られた復興プログラムが必要です。また、妊娠中や授乳中の女性には、食料支援と栄養価の高い食品が必要です。
- 地域の女性主導組織を支援すること: 地域社会との深いつながり、理解、広がりを持つ現地の女性主導組織は、最前線のファースト・レスポンダー(第一対応者)として重要な役割を果たします。彼女たちには、直接的かつ柔軟な資金援助が緊急に必要です。
ご寄付をお願いします!

ミャンマーの女性と少女たちは、今、あなたの助けを必要としています。現地の女性指導組織と協力しているUN Womenは、最も危険にさらされている女性と少女たちに重要な支援物資やサービスを届けることができますが、それにはみなさまのご支援が欠かせません。どうかお力をお貸しください!