スーダンの戦争が女性に与えた影響、2年後の今

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2025年5月9日

2025年4月15日付

国内避難民が集まるゲダレフ州エルホウリーにある自宅の外で、重度の急性栄養失調に苦しむ1歳の娘サハルを抱く避難民の母親マルカさん。2024年11月。  写真: UNICEF/UNI689368/Ahmed Mohamdeen Elfatih

2023年4月に勃発した激しい武力闘争から2年が経過したスーダン。これまでの経緯と現状、女性と少女が受け続けている大きな影響、それに対するUN Womenの支援活動をご覧ください。

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スーダンの内戦が始まって2年、1,200万人以上が家を失い、その半数が女性と子どもです。ジェンダーに基づく暴力が急増し、必要不可欠なサービスが崩壊する中、紛争が女性と少女にどのような影響を及ぼしているのか、また、彼女たちを支援するためにUN Womenがどのような活動を行っているのかについて詳しく解説します。

スーダンの内戦はいつ始まり、今、何が起きているのでしょうか?

2023年4月15日にスーダン国軍(SAF)と即応支援部隊(RSF)の間で内戦が勃発してから2年、スーダンはいまや世界最大の人道危機であり、女性と少女が最も高い代償を払っています。人口の64%にあたる3000万人以上が援助を必要としています

スーダンは数十年にわたって内戦の混乱の中にあります。オマル・アル=バシールは、30年もの間、スーダンを統治してきましたが、ついに広範な抗議行動が起き、2019年、スーダン軍がバシール政権を打倒しました。しかし、暫定文民政府は2年も経たずに解散し、再び政治的・経済的混乱期を迎え、最終的には武力紛争へと発展しました。

今回の内戦が勃発したとき、スーダンはすでに、2003年のダルフール危機による難民問題と暴力、また、気候変動に関連した深刻な洪水と干ばつによる農作物や家畜の破壊と闘っている状態でした。最近のスーダン軍と即応支援部隊の衝突は、重要なサービスや援助の提供に壊滅的な打撃を与えました。

スーダン内外で1200万人以上が家を失い、その半数以上が女性と子どもです。しかし、和平交渉はまだ始まっていません。

スーダンの内戦で女性と少女はどのような影響を受けているのでしょうか?

スーダンの内戦は、ジェンダー的に不均衡に女性と少女の生活を打ち砕いてきました。何百万人もが避難生活を余儀なくされ、生計の手段を奪われ、悪化するジェンダーに基づく暴力にさらされ、極度の飢餓へと追いやられています。

  • 国内避難民はすべての年齢層で女性が男性を上回っている国内避難民の53%が女性です。 国連の報告によると、スーダン国内で避難生活を余儀なくされている女性と少女は少なくとも580万人います。また、スーダンの内外で避難を余儀なくされている1,200万人の半数以上を女性が占めています。
  • ジェンダーに基づく暴力と性的虐待の驚くべき増加: わずか2年足らずの間に、ジェンダーに基づく暴力の危険にさらされている人の数は3倍以上に増加しました。推定1,210万人、つまり人口の25%が危険にさらされています。多くの事例は報告されておらず、サービスも行き詰まっている一方で、ジェンダーに基づく暴力の防止や被害者支援の需要は、2024年に、前年比288%増という驚異的な伸びを示しました。
  • 女性の経済的不安は、ジェンダーに基づく暴力に遭うリスクを高める: 女性主導のビジネスの崩壊、サプライチェーンの混乱、財政的な損失により、経済的に自立していた多くの女性が人道援助に頼るようになっています。経済的に不安定な彼女たちは、ジェンダーに基づく暴力や性的搾取を一層受けやすくなっています。
  • 女性にとっての極度の食料不安: スーダンの人口の半数を超える2,460万人以上が、深刻な食料不安に直面しています。少なくとも5つの地域で食料不足が確認されており、このままでは2025年5月までにさらに5つの地域で食料が不足することになります。既存の社会規範では、女性は世帯の他のメンバーに食料を分配した後で、最後に、そして、最も少ない量の食事をすることが多いため、女性は男性よりも食料確保の面で不安定です。
  • 女性のための医療がほとんどない: 紛争の影響を受けた地域では、病院の80%近くが機能していません。その結果、妊産婦の死亡が急増し、女性と少女は生理用品、メンタルヘルス面の支援や安全な場所へのアクセスも不足しています。避難している女性のおよそ80%が、移動距離や安全上の懸念から、きれいな水を買ったり、利用したりすることができていません
  • 女性は和平交渉から排除されてきた: 暴力から逃れてきた人たちの安全な通行のための交渉や、人命救助のための援助、平和の擁護など、最前線での活動を行っているにもかかわらず、女性は、以前にサウジアラビアのジッダで開かれた地域的・国際的な和平交渉を含めて、外交交渉から排除されてきました。UN Womenの支援を受け、平和を擁護する女性たちは、和平プロセスにおいて50%の代表権を占めることを要求しています

UN Womenはスーダンの女性たちをどのように支援していますか?

過去2年間で、UN Womenは60を超える女性主導団体を支援してきました。その多くが最悪の影響を受けた地域で活動しています。これまでに1万5,000人以上の女性が、技能訓練、人道支援、その他のサービスを受けています。

UN Womenは2010年以来、スーダンの女性にとって信頼できるパートナーであり続けています。平和構築、ジェンダーに基づく暴力に対処するための法律や政策の提唱、女性が暴力に直面した際のサービスへのアクセスの促進など、あらゆる分野で女性の経済的エンパワーメントとリーダーシップの向上に取り組んできました。今回の危機では、人道支援、ジェンダーに基づく暴力に対処する支援、紛争の影響を受けた女性のための生計支援、停戦交渉に女性を参加させるためのアドボカシー活動に重点を置いています。

2020年以降、「女性のための平和・人道基金」はUN Womenスーダン事務所とも協力し、公式・非公式の和平活動やコミュニティ対話への女性リーダーの影響力と参加を後押ししている40の現地組織を支援してきました。また、国内避難民の女性と少女が緊急支援やジェンダーに基づく暴力に対処する方策を利用できるよう支援してきました。

(原文)
https://www.unwomen.org/en/articles/explainer/the-impact-of-sudans-war-on-women-two-years-on

カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会

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