「女性の政治的リーダーシップが低下、2025年は女性幹部数が減少」
2025年6月16日
2025年6月12日付
UN Womenの最新報告書『Women Political Leaders 2025』は、女性の政治的リーダーシップが執行役職において単に停滞しているだけでなく、後退していることを明らかにしています。国家元首や首相、また主要な大臣職における女性の不足は、政治的リーダーシップにおけるジェンダー平等への広範に及ぶ障壁と、脆弱で不均衡な取り組みを浮き彫りにしています。
現在、女性国家元首または首相が率いる国は27カ国[i]のみです。これは5年前の21カ国から増加したものの、驚くべきことに103カ国は最高執行機関のトップに女性をおいたことがありません。この不均衡は閣僚の構成にも反映されています。世界全体で、閣僚として省庁を率いる女性の割合は22.9%に過ぎず、2024年の23.3%から減少しており、記録されている中で女性閣僚の数が初めて減少したことになります。
女性比率が50%以上である「パリテ内閣」の数は、昨年の15から今年は9へと減少しました[ii]。 同時期に、閣僚職に女性を一人も任命していない国の数は、過去1年間で7カ国から9カ国に増加しています。
まだ男女同数のパリテには程遠い状況ですが、ヨーロッパと北アメリカ(31.4%)やラテン・アメリカとカリブ海地域(30.4%)は、女性閣僚の割合で世界をリードしています。一方、中央アジアと南アジアはわずか9%と、大幅に遅れています。
「世界は、最も包括的な意思決定が必要とされている今この時に、女性の政治的リーダーシップの衰退を目の当たりにしています」と、UN Womenのシマ・バフース事務局長は述べています。「女性が最高レベルのリーダーシップから排除されると、私たちは皆が損失を被ります。なぜなら、社会は、ジェンダーが均衡なリーダーシップがもたらす、より公平で応答性の高いガバナンスを放棄することになるからです」。
女性の代表性の低下は、世界的な女性の権利に対する反発という背景のもとで進行しており、それは、女性政治家を対象としたオンラインとオフラインの両方での暴力の蔓延により、さらに状況が悪化しています。この暴力は、物理的な空間とデジタルプラットフォームの両方に及んでおり、多くの女性が政治的リーダーシップのキャリアに参入したり継続したりすることを妨げており、代表性におけるジェンダー平等を損なっています。
既存のジェンダー規範と慣行は、内閣の役職配分に大きな影響を及ぼしています。男性は圧倒的な割合で、防衛(87%)、財政・金融(84%)、外交(82%)など、国家や世界の優先事項を決定する内閣の役職を占めています。一方、女性は、ジェンダー平等(87%)や家族・子ども関連(71%)の役職に最も頻繁に任命されています。
これらの課題に加え、政府の政策や行動にジェンダー平等を定着させるための重要な機関であるジェンダー平等担当省庁の数が減少しています。2020年には約80の省庁[iii]が存在していましたが、2024年には76に、2025年には74に減少しています。
UN Womenは、各国政府と政治指導者に対し、執行幹部の任命、クォータ制のような一時的な特別措置の活用、そして、政治的な暴力に対するより強力な保護措置の実施を通じて、大胆かつ緊急の措置を講じるよう呼びかけます。
「女性の意思決定への完全かつ平等で意味のある参加は、単なる正義の問題ではありません。それは、北京行動綱領と持続可能な開発目標の約束を果たすために不可欠なものなのです。 約束を具体的な行動に移す時が来ました」とバフース事務局長は締めくくりました。
[i] バルバドス、ボスニア・ヘルツェゴビナ、デンマーク、コンゴ民主共和国、ドミニカ、ホンジュラス、アイスランド、インド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、マルタ、マーシャル諸島、メキシコ、モナコ、ナミビア、北マケドニア、ペルー、モルドバ共和国、サモア、サンマリノ、スロベニア、スイス、タイ、トリニダード・トバゴ、チュニジア、タンザニア連合共和国
[ii] ニカラグア(64.3%)、フィンランド(61.1%)、アイスランドおよびリヒテンシュタイン(60%)、エストニア(58.3%)、ならびに、アンドラ、チリ、スペイン、イギリス(いずれも50%)
[iii] 国際議会同盟(IPU)がまとめたデータ
カテゴリ: ニュース , 国連ウィメン日本協会